AIは写真家を殺すのか?

何年か前、私はアンドロイドからiPhone12へ機種変更しました。
その理由は、写真撮影機能に心を奪われたからです。

初めてiPhoneで撮った風景写真に、私は衝撃を受けました。
デジタル一眼では表現しきれなかった世界が、AIの力によって軽々と描き出されていたのです。
以来、カメラ機能は日進月歩で進化を続けています。

先日、バラ園でモデルさんの撮影をしました。
50万円超のデジタル一眼レフとiPhoneを並べて同じシーンを撮り比べたところ、
一番心を打たれた写真は、なんとiPhoneで撮影したものでした。

そのときのショックは、言葉にできないほどでした。
色味、空気感、ボケ味――
「まさか、こいつ(iPhone)は俺の感性を学習しているのではないか?」
ふとそんな思いがよぎり、背筋が冷たくなりました。

デジタル一眼は、レンズや設定を自分で選び、思い通りに写せます。
しかしAIがさらに進化すれば、写真家の好みや感性を先読みし、
「こんな風に撮りたいんでしょう?」と提案してくる未来もあるでしょう。

果たして、それは誰の作品なのか?
AIなのか、私なのか。

もちろん、iPhoneにもまだ不得意な分野はあります。
プロとして活動するには、依然として高性能なカメラ機材は欠かせません。
しかし、その“不得意”は思ったよりも早く克服されていくはずです。

いずれ、写真家はAIを有能なアシスタントとして使いこなす必要が出てくるでしょう。
あるいは、そもそも「写真」という表現手段の意味を、私たちはもう一度見つめ直すことになるかもしれません。

数年後、私たちが今想像している未来など、きっと通過点にもなっていないはずです。
だからこそ、今ここで、迷っていても仕方がないのです。

「何のために、誰のために、この一瞬を写しているのか」

その原点を忘れず、目の前の人を笑顔にすること。
それだけを大切に、私はこれからもシャッターを切り続けます。

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